コンテンツの設計
なんちゃって企画書の中でも、「どんなコンテンツにするか」はざっくり書き出しますが、カテゴリや記事一覧については、さらに詳細かつ具体的に練り上げましょう。実際のサイト制作に着手するのはその後です。
最初に「記事一覧書き出し」作業をしておかないと、ついつい自分にとって得意分野の記事、時間も手間もかからずさっくり書ける楽な記事ばかり取り組んでしまい、偏りのある、内容の薄いサイトになってしまう可能性があるからです。
カテゴリ設定の前に「切り分け」作業
カテゴリ案を書き出す作業の前に、ユーザのニーズや属性、状況などをベースに少し切り分ける作業をしてみましょう。例えば・・・
ジャンルとしては「旅行ガイド」サイトです。
キューバ旅行を計画している最中にミニサイト企画も作っていたので、まずは最も身近な自分自身が最初の"潜在ユーザ"。「今自分が必要としているのはどんな情報か」を徹底的に考え、その次に自分以外の想定ユーザニーズを考えるという順序になりました。
想定ユーザが一連の時系列的なアクションの流れの中でどの段階にいるのかによって、そのニーズも必要な情報の内容・見せ方も異なります。それらをざっくり切り分けて考える事で、ニーズに則したカテゴリ設定が可能となります。
<旅行に行くことを決定する前と後>
- キューバに関心を持ち、旅行してみたいなあと思っている段階
- キューバ旅行に行くことを決め、そのための情報収集を始めた段階
<チケット購入など手配が済む前と後>
- いつ行くべきかチケットやツアー手配はどうすればいいか情報収集中
- チケット等の手配が終わり荷造りや観光地巡りの計画を立案中
<旅行出発前と出発後>
- 旅行に出発する前の情報収集
- 旅行中に現地で必要なことを調べている(主にスマホ等で)
もちろん、切り分けは時系列的なものばかりではありません。
- まずはどんな可能性があるのか知るために選択肢を広げたい
- 最終的に決めるため、選択肢を絞り込むためのヒントが欲しい
- 旅行を楽しむための情報
- お金や時間の節約につながる情報
またユーザの知識・経験レベルや、同行者の有無、旅行日数、予算、ライフスタイルの違いなどによって切り分けて考えることもできるでしょう。
- 普段の海外旅行はツアー中心の人
- 航空券やホテル手配はいつも国内旅行会社に委託している人
- 個人で航空券を買ったり直接ホテル予約することに慣れている人
- ひとりでキューバ旅行
- 友人・家族などと一緒にキューバ旅行
- 子連れでキューバ旅行
- 旅行ではなく仕事でキューバ渡航
もちろんこれら全てのニーズを満たそうと考える必要はありません。ミニサイト作りにおいて欠かせないのがプライオリティの設定と取捨選択です。たとえば旅行サイトなので、まず「ビジネスニーズ」は捨ててしまって問題ないでしょう。また「キューバに関心を持ち始めた人」「キューバ旅行のための具体的な情報収集を始めた人」のうちのどちらを主ターゲットとして考えるかも、企画作成とこのカテゴリ設定段階で明確で決めておくべき事項。それによってこの後に書き出す「記事タイトル案」は大きく変わってくるからです。
「知識&情報ゾーン」と「管理人の体験ゾーン」
もうひとつ、カテゴリ決める上で重要な切り分けがあります。
ミニサイトではこれをどう組み合わせるかも大事なポイントになってきます。
- 知識&情報ゾーン
- 管理人の体験ゾーン
例えば旅行ガイドサイトであれば、「両替の方法」「温泉一覧」などは知識・情報ですし、「世界一長い○○橋を歩いて渡りました!」という記事は管理人体験です。ブログではあまりこれを切り分けたりはせず、混在させたり、ひとつの記事に両方の要素を盛り込むことも多いですが、ミニサイトでははしっかり切り分けて構成・配置したほうが、ユーザの利便性につながります。
カテゴリを決定する
カテゴリ決定の際に留意すべきポイントがいくつかあります。
- 数を増やしすぎない
- わかりやすいカテゴリ名
- 優先順位付けする
テーマによって最適な数は変わりますが、多すぎればユーザを迷わせます。テーマがしっかり絞られていればカテゴリの数もそれほど多くはならないはず。トップページにカテゴリを並べた時、パッと見で「このサイトはどんな内容のサイトなのか」がわかるよう、一覧性を重視しましょう。
そのためには、トップページのレイアウト検討と同時進行で進めるのも有効な方法です。
私自身はトップページ上部に4~8個ほどのカテゴリなりピックアップ記事なりを配置するレイアウトをよく採用します。
数がどうしても多くなってしまう場合でも、メリハリをつけて並べるなど、トップページのレイアウトなど見せ方次第でユーザを迷わせないわかりやすいミニサイトになります。
トップページの構成・配置を考える
トップページの構成は、ミニサイト作りにおいて非常に重要です。初訪問者に対し「どんなサイトなのか」を短時間で理解してもらい、かつその人が最も必要としているコンテンツにスムーズに誘導する役割を担っているからです。
もちろんランディングページ(検索エンジンなど外部サイトからやってきた訪問者が最初に"着地"するページ)がトップページとは限りません。ただ着地後に興味を持ち、「他にどんなコンテンツがあるんだろう」と思った訪問者がトップページへ移動する確率は高いでしょう。
ミニサイトならではの、わかりやすく整理されたトップページを工夫する必要があります。
東京温泉のサイトは、スマホ利用者を主ターゲットにしており、トップページにサイドバーは作らず、上→下デザインになっています。そして上部に「各温泉の情報(客観的情報)」を、下部に「管理人訪問レポート(主観的情報)」を配置しています。
このサイトを訪れるユーザの目的は「東京都内の温泉に行きたいがどこがいいか」という温泉探しでしょう。探し方はいろいろ想定できます。
- 自宅近くの温泉を探している(エリア別・地図別)
- 会社から自宅までの間の通勤途中で寄れる温泉を探している(路線別・地図別)
- 電車で行きやすい温泉を探している(路線別)
- 車で行きやすい温泉を探している(地図別)
- そもそもどういった特徴の温泉があるか知りたい(テーマ別)
- 終電逃した時や東京に安く泊まる目的で深夜滞在可能な温泉を探している(テーマ別─深夜滞在)
- 週末に家族で温泉に行きたい(テーマ別─プチ温泉旅行)
- リラクゼーション目的で温泉に行きたい(テーマ別─エステ、テーマ別─岩盤浴)
- 会社の送別会や忘年会で日帰り温泉使いたい(テーマ別─忘年会)
ブログであれば、「管理人による東京温泉訪問レポート」をメインコンテンツにするところですが、情報サイトなのであえてトップページでは下部に配置。その代わり、個々の温泉情報ページからレポートにリンクを貼り、行ってみたいと興味が沸いた場合には、さらに管理人の体験レポートを読んでもらえる導線にしています。
+ + +
どんなカテゴリを立てて、記事をどう整理して並べるかはテーマ次第です。
ただ難しく考える必要はなく、基本的にはより多くの人にとってニーズがあるプライオリティの高いカテゴリ・記事を上部に配置し、あとは適度にくくって、並列に並ぶ数が増えすぎないようにするだけです。
カテゴリ名も記事タイトルも奇をてらう必要はなくシンプルにわかりやすく、また視認性を高めるためにも長くなりすぎないようすればいいと思います。
記事は何本くらいが適当?
カテゴリが決まったら、次にどんな記事を作成してゆくか考え、書き出していきましょう。
ここは少し時間をかけてもいいところかもしれません。多めに書き出し、後で優先順位つけて絞っていくでもいいと思います。
ところでミニサイト作りに関してこんな質問をよく受けます。
「記事本数ってどのくらいが適当なのですか?」
テーマによっても、どのレベルの知識を持った人をターゲットにするかでも、最適なボリュームは変わりますのでズバリ回答はありません。またサイトとして適当なボリュームの他に、作り手側がどれだけ時間をかけられるかにもよります。
参考までに私が過去に作ったサイトの記事本数をまとめてみました。
- スポット情報ページ 16記事
- TIPS記事 5記事
- その他 1記事
- Windows10版 12記事
- Windows7版 9記事
- Windows VISTA版 9記事
- その他 4記事
- 個々の温泉情報ページ 59記事
- 管理人の温泉訪問レポート 44記事
- その他 3記事
「Windowsムービーメーカーの使い方」サイトは、ソフトのバージョンアップにつれ画面も変わってしまったため、記事を作成しなおす必要が発生しました。過去バージョンの記事も残していますが、実際には最新版のための記事12記事と、共通記事4記事の16記事が主コンテンツです。
もっと基本操作に絞って本数を5~6本にまとめることもできますし、さらに「祖父母に見せるためのベビームービーを編集する」「旅行記念映像をまとめる」「結婚式のお祝い動画を作成」など、代表的な法と別に作り方見本を示すなどして、本数倍増させることもできます。
ミニサイトでは、いったん「完成」と言える形に仕上げることが必要ですが、完成した後はもう記事を足してはいけないということではありません。リリース後、再び訪問者のアクセス動向など踏まえ、「第二弾」「第三弾」としてコンテンツを拡張していけばいいのです。ただその場合も、だらだら記事を追加するのではなく、都度しっかり企画を立てて拡張展開していきましょう。
カテゴリ・記事一覧ができたら再度企画書を見直す
カテゴリや記事一覧を作成する段階で、それまで気付いていなかった想定ユーザニーズがより明確に見えてくることもあるでしょう。テーマの軸が多少変わってきたかもしれません。
制作作業に入る前に、もう一度「企画書」を見直し、必要があればバージョンアップしましょう。
全部で何本のどういった内容の記事を作成する必要があるかも見えたはずです。情報収集や文章作成にどの程度時間かかるか見積もりをたて、先に考えたスケジュールが現実的かどうか再度チェックしてみましょう。今後の予定を確認すれば、ミニサイト作りにどの程度時間をとれるかもわかるはずです。きっと完成目標日も設定できるでしょう。
この後の制作作業に弾みをつけるためにも、
カレンダーや手帳のその日付に、大きく印をつけてみませんか。